PHOTON

PHOTON:写真と音楽と旅行が好きな理屈屋の日記

'09 富士山登山

去年に引き続き、今年も富士山を登ってきた。

9日の夜に出発。今年は高速道路が上限千円となる割引のため、混雑が予想されたが、私の区間では特に渋滞はなかった。

のんびり安全運転でドライブし、神奈川県厚木で降りる。ここで降りたのは、モンベルで大きなザックを買うため。またモンベルなのだ。モンベル直営店が静岡県にないので、隣県に行く必要がある。なぜ静岡には直営店がないのか・・・。

80リットルのザックを買う。富士山に日帰りで登る目的としては大きすぎる。それは分かってる。去年も登ったので、今年は少し変化をつけようと思って。

 ・山頂は寒く、ご来光を待っている間凍える経験をしたので、防寒具を十分持って行く。(防寒具はかさばる)

 ・できれば山頂で暖かいコーヒーを飲みたいので、コンロと水を持っていく。

 ・すぐにハラペコになるので行動食を持って行く。

ザックだけ買って富士山登山口へ目指す。

富士山はいくつか登山口があるが、今年も富士宮口から登る。

13時半くらいに麓の水ヶ塚駐車場に到着した。ここに車を置いて、シャトルバスで5合目までいく。ご来光に合わせるため、18時くらいに出発しようと思う。それまで車で仮眠する。今日は仮眠はしたが徹夜状態なので、すぐに寝入る。

16時に目が覚めてしまう。ゆっくり念入りに準備する。

駐車場から富士山頂を見上げると、上の部分が雲に覆われているのが分かる。

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雨が降りそうなので雨具を忘れないように、ザックが濡れても中身が濡れないようパッキングする。持ち物は、

 ・服装

  シャツA、長袖シャツB、フリース、冬のバイク用ジャケットのインナー、モンベルの小さくたためるダウンジャケット、ウインドブレーカー、ジーンズ、オーバーパンツ

 ・その他装備

  軍手、トレッキングポール

 ・雨具

  1万円くらいのゴアじゃないカッパ、リュックカバー、ビニール

 ・食料

  ウイダーインゼリー×4、ソイジョイ×6、水×2l、お茶×1l、チキンラーメン、コーヒー

 ・その他

  デジ一、タオル、絆創膏、ティッシュ、タオル、コンロ、食器

シャトルバスで5合目へ行く。去年はえらく空気が薄く感じたものだが、今回は慣れたのか薄いことは薄いがあまり気にならなかった。一応ゆっくり服装と荷物の再点検をして、空気に慣れることにする。

19時半に出発。20時に6合目に到着。

6合目の看板海抜2500m

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6合目からの夜景

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ここまでは良かったのだが、7合目くらいで歩くのに飽きてきて、体力もなくなってきた。5月のGWに旅行に行って以降は仕事以外は家にこもっていたので体力不足になっていた。目的なき牛歩戦術だ。さらに新7合目からは雨がぽつぽつ降ってきた。上に登るにつれて、ぽつぽつからばらばら、そしてざーっ、へと悪くなってくる。

それでも8合目までくらいは雨については大丈夫だった。寒がっている他の人を尻目にどんどん着重ねていく。カッパもゴアではないがよく雨を弾いている。ゴアの靴はスパッツも装着して浸水なし。今思えばこれがダメだった。ここで過剰装備による過信があったのだと思う。

9合目になって山が一面壁から円錐の頂点付近という感じに変わってくると、雨はいわゆる暴風雨になってきた。荒れる風が容赦なく唯一肌が露出している頬を激しく打つ。しかし、ここまできたんだから、という今まで何人もの命を奪ったであろう変な意地が前進以外の選択肢をふさぐ。

9合半。下界から斜面をはうように上昇してきた暴風雨は、石つぶてのように私をたたきつける。山頂にはいくつか建物があり風防になりそうなので、山頂を目指す。体力はもうそろそろ限界。10分ごとに岩場の影に腰を下ろして休む。むむ、靴の中に水が進入しているようだが、かまっていられない。

ようやく山頂の鳥居が見えてきた。もう山頂にたどり着いても感慨も何もない。急いで建物のくぼみに体を寄せて風をよける。しかしひさしもなく、暴風雨は避けられない。

周囲を見渡すと、10人ほどはいたかと思う。だれもかれも建物に寄り添っている。

私はうずくまって夜が明けるのを待つ。雷も鳴り始めた。たぶん雷源に近い。ストレートに↓のように落ちるのではなく、シャワーのように ∈ を右に90度回転させたような細かい稲妻が走る。そしてごろごろがしゃーん!とどこか遠くに落ちたようだ。その瞬間地面を伝って私の尻にピリピリするものが走った。

歩みをやめた今、急速に体温が奪われていく。去年にこりてあれだけ防寒具を持ってきたのに、まさか今年は暴風雨も加わるとは。風がなければ十分な防寒かもしれないが、

やっぱり今年もガクガクブルブル。歯の根ががちがち鳴る。何もしなくても自然と体が震える。しかも眠くなってきた。この状態になるとたぶんやばい。ここで寝たらたぶん起きることはないんだろうなあー、と思いながら、でもいっか、とも思ったり。いやいや、ここで死んだら残されたXXXはどうなる、まだあ~んな事やこ~んな事したいなあ、 死ぬとしたら何をしておかなければならないか、死んだら悲しんでくれる人いるかな・・・。などといろいろなことを考えていると、眠らずにすんだ。

早く夜が明けろーと願っていると、少しずつ周りが明るくなってきた。山頂の食堂もドアを開けたようだ。

私は迷っていた。今下山を始めるか、もう少し様子を見て暴風雨が収まるのを待つか。ふと見ると子供連れの一行が下山しようとしている。それを見て、誰かについて降りた方が心強いと思って後ろを付いて下山することにした。

暴風雨はちっとも収まっていない。気を抜くと飛ばされそうな風。その風に混じる大粒の雨が石つぶてのようにたたきつける。下山の方向は、上昇してくる風上に当たる。なので、顔に当たる石つぶてが痛くて、前を向いて下りれない。顔を横向きにロープを伝って下りていく。それでも足場は瓦礫で段差があり、危ないので、足下を確認して一歩ずつ下りる。

途中、ロープのとぎれで立ち止まって別のロープを探す。9合半で上に上がってくる人とすれ違った。上に上がってもひどくなるばかり、雷も鳴っており帰った方がよいとアドバイスする。

どれくらい歩いただろう。9合目過ぎたくらいから少し風は弱くなってきた。だが足が悲鳴を上げている。一歩一歩ゆっくりゆっくり降りていく。山頂にはあまり人はいなかったが、ドンドン人に追い抜かされている。(子供にも!) たぶん小屋に泊まった人が降りてきているのだろう。

最もつらかったのが7合目-6合目の間。とにかく長い。建物が近くに見えあとちょっとで6合目の山小屋のように思えるが、実際は民家(?)だったりしてフェイク。永遠に思われる時間だった。

6合目に降りてきたら、少し歩けばバスのいる5合目。へとへとになってバスに乗る。バスは座席にビニールがかぶせてあり、カッパは脱ぐが少々濡れていても大丈夫なようになっていた。

結局カッパの中、靴の中、リュックの中まで雨が浸透し濡れ濡れ。着替えたものの気持ち悪いので、温泉にはいる。少し離れたところにある温泉に入る。1300円だったが、う~ん、6-800円くらいでもいいかもという設備。1300円クラスだとスーパー銭湯並だ。

その後また、高速道路で帰宅する。しかしびっくりした。家に帰ってテレビをつけると駿河湾地震の報道。高速道路も一部崩壊しているとのこと。えーっ、今通ってきたところだ! 数時間差でセーフ。無事に帰ってこれたことといい、運がよかったのかなあ。「おまえにはまだなすべきことがある。」

何とか今回は帰ってこれたが、無茶をしてしまったと反省している。山の天気を甘く見てはいけない。特に富士山は日本一の山なのだ。

(全く撮る余裕がなかったので、写真がないがご容赦を)