近所の本屋で見かけた 『本屋大賞の第1位』の文字。
「謎解きはディナーのあとで」東川篤哉 著。
日本一のお嬢様の身分を隠した女刑事と毒舌慇懃無礼の謎解き執事、お嬢様の上司の御曹司警部のミステリー。
物語は短編になっており、以下のパターンで進行する。
事件発生
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お嬢様刑事と御曹司警部による実況見分
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御曹司警部のとんちんかんな推理
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謎分からず、お嬢様刑事が執事に泣きつき、事件の経緯を教える
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執事はお嬢様に暴言を吐き、推理を披露する
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真相が分かり、そこで話が終わる
短編集なので一つの話は短い。ミステリーの仕掛けも、がっちり練られたものではない印象を受ける。
気になるのが、設定が甘く、描写も薄いこと。好き嫌いはあれど、村上春樹の筆致と段違いの描写力・・・。
お嬢様のお車はキャデラックの長いリムジン、御曹司はジャガー。金持ちが乗る車としては微妙・・・。
また、コンツェルン総帥の娘級の本物のお嬢様は、「だっつーの」とはいわないと思う・・・。
一般小説と思って読むとがっかりするので、ラノベと心得て読むべきだろう。
「放課後はミステリーとともに」東川篤哉 著。
謎解きはディナーのあとで、を読む前に買ってしまった1冊。読んでいたら買わなかったと思う。
買ってしまったものは読むしかない
こちらも短編集となっている。探偵副部長の高校生が様々なことに首をつっこみ、推理をする。だいたい当たっておらず、別の第3者が真相を当てるパターン。
こちらもミステリーの仕組みも物語もラノベレベルであった。
ラノベも読むことは読むので、嫌いじゃない。これら作品はラノベと思って読むと、読み進めることができる。
けど、"一般小説と思って読んだらラノベだった"場合は多くの人はがっかりすると思う。特に年もそこそのいった大人の一般小説の読書好きは。
しっかりと構築された一般小説を読んでいると、ステレオタイプな深夜アニメのような設定は受け入れにくいのではないか。
後でAMAZONのレビューをみたら、そんな人が多くて評点低っ。
まだまだラノベの一般進出は遠いなあ。
本屋大賞は創設当初はあまり注目していなかったが、第1位に選ばれた2009年「告白」、2010年「天地明察」、今年をみると、構成・描写・リアリティ・ストーリーより読みやすさを重視して第1位を決めているのかもしれない。
この中で「天地明察」は上記3要素はしっかりしており、他の2つよりはいい作品と思う。
本屋大賞のwebによると、
・書店員による投票を実施。(新刊を扱っている書店の書店員であること(アルバイト、パートも含む))
・一次投票:全国362書店より458人の投票が、二次投票には全国351書店より439人の投票(2011年の場合)
・またNPOの収支は、この3年の間 赤字・黒字・赤字、累積14万円の黒字となっており、安定していないようだ。
しかし、「売り場からベストセラーをつくる!」というコンセプトについては、本屋大賞の知名度が年々アップしているようで、拡大できているのではないか。
「この賞で評価されたんだからハズレはないだろう」、と思わせられるかどうかが、賞に権威がつく条件と考える。
私の場合、「告白」と今回は「これが1位か~」という思いであった・・・。