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PHOTON:写真と音楽と旅行が好きな理屈屋の日記

バイクの将来性

前回の投稿で、バイクを降りた個人の理由をつらつら書き連ねました。

一昨年に十数年ぶりにバイクにリターンしましたが、そこで感じた外部環境についても十数年ぶりの印象を書きたいと思います。

大学時代に乗っていた頃と、今と比べて。そして、業界に対する所感です。

 

まあ、もういろんなところで言われていたり、まあそうだろな、というレベルですが、思ったことを書き残そうと思いました。

 

 

 

 

ネガな部分

 バイクの種類が少ない

バイクに乗ろうと思って、一番はじめに感じたことです。

種類すくなっ!

00年代初期のバイクが軒並みなくなっていて、昔夢見ていた車種はもうなくなっていました。特に中型。

ホーネットとか、ドラッグスターやシャドウなどのアメリカン、エストレヤ、W400、ZZR400・・・。

乗りたかったのに。

車種が少ないものだから、以前は雑誌のバイク図鑑をみても、国産メインだったけど、今は輸入車も誌面が取られています。

よっぽど書くことがないのか、「xxがデビュー!」という記事をみると、外国の話で、日本での販売予定なしや未定とかもありますね。

 

また、バイクの顔つきや造形もちょっと好みとは変わってきています。

上で挙げたように、古めのフェイスがバイクらしくて好きなのですが、少なくなりました。

 

バイク産業が衰退

乗る人が減ったのでしょう。生産台数も激減です。

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出所:JAMA 自動車工業会

私が乗っていた00年からの減少率です。

50cc 125cc 250cc 251cc超
79% 92% 82% 61%

メーカや販売店は、ビジネス的には瀕死でしょう。

まだメーカは国外販売や他の事業が支えることで耐えられますが、販売店は国内だけですので厳しいですね。

 

なぜこんなに落ち込んでしまったのか。

 ・他にいろんな趣味で、お金を使うことが増えた。

  スマホなどのIT機器とか、体験・サービスとか。

 ・まとまった時間がない

  ITの発達で効率化は進みましたが、空いた時間が仕事やスマホ、他の趣味に奪われています。

  他に楽しいこともあって、運転する時間がもったいないのかもしれません。

 ・不便したくなくなった

  暑いし寒いし、汚れるし、大荷物はもてない。

 ・50cc原付は、電動自転車が普及して、いわゆるおばちゃん需要が低下。

 

バイクの市民権がない

バイク人口が減少して存在感がなくなると、市民権もありません。

もともと騒音や危険な運転のイメージがあり、乗らない人からは邪魔者扱い気味でした。

 うちの周りは、公営も含めて、駐輪場はほとんどありません。自転車駐輪場で一部原付に解放しているところもありますが、少ない状況です。

目的地もバイクの駐車場はないことがほとんどです。

 

車が小さいので弱く見え、生身むき出しで圧倒的に不利なため、車からは基本なめられます。「当たって痛いのはおまえの方だぜ、おまえの方が譲れよ」、的なところも、車からはありそうです。

 

売店が旧態依然としている

メーカーのディーラーは、最近販売方法の変更でディーラー直で新車を販売することが多くなり、店内もきれいになって、かなり洗練されてきましたが、街の一般の販売店は旧態依然の感じです。

作業場と一体化していて、汚い。

バイクが所狭しと置いてあり、ディスプレイが雑然としている。

店主・店員が横柄。

会計が不明朗。

 

改善を模索している一般販売店もあります。私が先日購入/売却したお店も、不快ではありませんでしたが、でもまだ改善の余地はあります。

 

メーカー系ディーラーは、抜本的に改革してきていますね。

街の販売店を見捨てて利幅の大きな大型バイクは直営店だけで売るとか、店内をきれいに改装して、コンセプトやイメージを大事にする展示方法になっていたり。

競合もなくなり、ディスプレイのコストは当然販売価格に加算されるので、バイクは高いものになりますね。

 

購入に苦労する

新車でも、中古車でも、まずは交渉が面倒です。

今はネットショッピングも普通になり、横並びで価格を比較して、ポチッと買うことができます。

自動車関係は交渉が当たり前です。新車でワンプライス販売も増えていますが、新発売から時間がたつとワンプライス販売から変動価格へ移行することもあるので、損した気分になります。

交渉も、販売店員の質の問題なのか、交渉の仕方が幼稚なことも多いです。交渉ネタにならないようなことでも平気に言ってきたり(そして論破されると機嫌が悪くなる)、わざと時間をかけてじらすような行動に出たり。

 

goobikeも支払い総額表示になり、サイト上は明朗です。

ところが、値引きが当たり前だった時代からすると、そこから値引きできるふうに感じてしまいます。

 

そもそも販売店に行かなければならないのも面倒です。

見ずにネットで買うこともできるところもありますが、やはり現物確認はしたいところ。

 

もちろんお金や状態を気にしなければ、言い値で買えばすぐ買えるのですが、「安く買いたい。でもスピーディーでスムーズな購入体験もほしい。」と両得を目指すことができません。

一般製品は、ネットショッピングで実現しましたので、車・バイク関係もそうなってほしいです。

最近、動画を掲載してネットショッピングをしているところも増えてきました。

もう何かあと一歩ほしいです。

 

試乗ができないのでバクチ

こけやすいバイクの特性上、試乗はできません。

新車なら試乗車がわずかに用意されることもありますが、ほとんどの場合、試乗せずに購入することになります。

何十万円~何百万円もするものを試乗せずに購入するのは、バクチです。

せいぜいまたがった状態でエンジンをかけて、エアライドを楽しむくらいでしょうか。

 

レンタルバイクを試乗に使うのはありですが、車種は限られるし、数万円もします。

 

費用が高い

何かにつけて、コストがかかります。

 

まずは税金!   

  毎年の自動車税、2年ごとの車検。

  車検をなくすと、ほんとにノーメンテの人がかなり多くなって危険なので、社会の秩序を維持するには必要なのかもしれません。

  車検は存続でもいいのですが、各種税金が高すぎるので、減らして下さい!

 

高速道路も高い! 

  軽自動車と同じく普通自動車の8割です。2輪しかなく重量も軽いので、5割くらいにしてほしいです。

 

バイク用品がいろいろいる!いちいち高い!

  車体だけでは乗れません。

  私の考える必要な物と金額の最低ライン

  1. ヘルメット : 2.5万円
  2. グローブ: 0.8万円
  3. カッパ :  1万円
  4. ウェア : 上2万円、下6千円 (ワークマン使えばもっと安いです)
  5. プロテクタ : 肘、膝、肩・背中1万円(ついているウェアもありますがそこそこの分厚さのものがいる)
  6. ロック : 1万円
  7. バイクカバー : 5千円
  8. ETC (遠出を楽しむなら必須)  : 3.2万円

 小計 : 17.1万円

 

 さらにあればいいもの

  1. インカム(無線機) : 音質のいいものは3万円ほど
  2. ドラレコ : 前後2カメラ 3万円+工賃1万円
  3. スマホホルダー : 0.3万円

 上と合計すると、約25万円!

 ケチって半額としても12.5万円ですよ。

 

バイク人口が少なく、数が出ないために、あまり大量生産ができないし、流通でもコストが高くなります。

1品につき、数万円。他のものにお金を使いたくなります。

安価な中華品も最近では品質が向上して使えるレベルの物もあるそうですが・・・。

 

 

 

価格に納得感がない

私も本業の方でコスト構成の検討や原価を計算しますし、簿記の勉強もしました。

レンタルバイクの項目で見せたように実際に計算してみると、まあそんな感じの値段でも仕方ないね、利益薄いね、と論理的には理解できます。

だけど、なぜか納得感がない。

 

一つ目は、昔の、車屋さんは阿漕な商売、っていうイメージを引きずっているのでしょう。

阿漕に見られるような店構えや店員の質であるのかもしれません。

 

二つ目に、店まで足を運んで、たいした試乗もできず、煩わしい交渉をして、高いお金を払うのに、値引きは渋い。購入体験が満足いかないものだからかもしれません。

職業病というか、交渉は事後に、必ず振り返ってしまいます。勝った負けた、あのときどう言えばよかっただろう、もっと安く買えたのでは?と。

 

交渉の煩わしさがあることで、購入体験の満足度が下がります。その点iPhoneは価格交渉無しの一切ワンプライス、次年度の新機種販売まで値下げ無し、が徹底されています。おまけに中古価格も一定を維持。

お店も洗練されて、統一されている。

高く買わされているとは思いますが、購入に至るまでの満足度は高いです。製品への期待感や購入前の高揚感の持続を妨げないというか。

 

三つ目に、中古の場合ですが、ネットが発達したことで、コスト構造がバレバレになって、購入者に情報が入るようになったことです。

 

中古の場合、バイクの販売相場、買取相場を公表しているサイトがあり、そこから、販売店の利益(粗利益)も推定できます。

また、ヤフオクやメルカリなど、個人間取引の相場も知ることができます。

そこでついつい、個人間取引の相場と、販売店の価格を比べて、うわっこんなに取ってるんだ!高い!と思ってしまうのでしょう。

もちろん、販売店には経費・利益が必要ですし、個人間取引ではプラットフォームの手数料がかかります。

 

例ですが、買取相場56万円、販売80万円、粗利24万円。個人間取引なら70万円。

購入者の立場:「オークションなら70万円で買えるのに、10万円も乗せてるの!」

買取依頼者の立場:「オークションなら70万円で売れるのに、56万円にしかならないの?」

お店:「じゃあ、個人間取引してください」

購入者/買取依頼者:「ぐぬぬ。トラブルがあったらどうしよう。名義変更めんどくさい~。」

 

あー、コストのことを書き始めると長くなってしまいます・・。

トニカク、良くも悪くも、コスト構造はオープンになっていて、個人間取引と比較をされます。

売店を挟むメリットを見える化したり、しっかり認識してもらって、価格に納得感をもたらす仕掛けが必要かと思います。

例えば、納車前整備。一律の額か比率で料金を取っている場合は、不明瞭です。

美車で、ほとんど整備もいらなさそうなのに、何の費用なのか?と疑念を持ちます。

入荷時の状態だとどこが悪いから、ここまで直してこの料金になる、と表示してほしい。

もしくは、結局利益だったら、管理費・利益だと、表示してほしい。その方がすっきりします。

 

電動化が遅れている

環境規制については、いろいろ言いたいことがありますが、電動化はやむを得ないでしょう。

00年前半までは、バイクは環境規制からお目こぼしされていましたが、もう目をつけられてしまいました。

規制が厳しくなって、規制に対応できない車種がドンドンなくなっています。

もともと取付けスペースや重量に制約があるバイク。ユーザーとしてはメリットのない環境対応によって高くなる価格。

 

電動化しても楽しくなければ、価格が高ければ買われない。

でも電動化しないと、環境規制に対応できず販売できない。

レシプロエンジンのまま、環境性能を上げることで生き残れるのか? 

 

 

 

進化している部分

安全への意識が向上

大学時代は、プロテクターはつけなかったですが、最近では教習所でプロテクターをつけることになっていて習慣化しました。

守るものができたということもあります。

ちゃんとしたプロテクターを購入して、夏暑くてもつけていました。

 

教習所で習慣化させることで、安全への意識が高まっているんだなと思いました。

 

 

インカムが普及

手軽なインカムが普及しています。

トランシーバーのようなものはありましたが、学生には手が出せない高いものでした。

一緒にツーリングに行く友だちや、後ろに乗せる相方などと、走行中は話ができないのが、残念でしたが、インカムのおかげでとても楽しいライディングになりました。

 

また、一人の時も音楽を聴けるので、音楽好きの私も大満足です。

 

スマホナビが普及

ナビは本当に便利です。以前は、車用しかありませんでした。バイクでもナビが使えるようになって、ほんとに便利です。

USB給電口も標準で装備している車種もあります。

 

ETCが普及

バイクでは必須と言っていいETC。学生の時は普及しておらず、料金所で手袋を外して、お金を渡して、またグローブして・・・・、ってとても煩わしかったです。

コインを落としたときは悲惨です。後続車もイラッとしたでしょう。

 

グリップヒーター

ほとんど標準搭載されず、後付けする人が少しいるかな、という程度でしたが、拡大しているようです。

おばちゃん原付であればハンドルカバーをつけていた人もいましたが、最近見ませんね。

 

パニアケース・トップケース

特に原付ではかなりの装備率ですね。

こんなプラスチックの箱なのに、高いんですよね。

(大型の高価な金型と成形機が必要なので、生産個数に依存してしまう。また、かさばるので流通・在庫費か)

 

 

 

うーん。

十数年ぶりに戻ったバイクはいろいろ将来性が大変な状況になってきていました。

たぶん、子育てが落ち着いたらまたリターンすると思うのですが、それまで持つかな。そのとき激変しているでしょう。電動バイクがほとんどになっているか、バイク自体がオワコンになっているか・・・。

 

そのときまた、この記事を見返したいと思います。